うちの猫、「ミミ」は、まっしろでふわふわの毛並みが自慢の女の子でした。
名前のとおり、耳がちょこんと小さくて、とても可愛らしく、甘えん坊で、“家族の気持ち”にとても敏感な子でした。
彼女が家に来たのは、私が仕事で大きな挫折を味わい、心が折れそうになっていた頃。
毎日帰ると玄関で待っていてくれて、私が泣くと、膝にちょこんと乗ってきて喉をゴロゴロ鳴らす。
その優しさに、何度も救われました。
そして、気づけば18年が経っていました。
年を重ねてからは、私が布団に入るといつもそばに来て眠るようになり、それが当たり前のように続いていたのですが…
ある朝、静かに、その腕の中で旅立ちました。
最期まで、私を見つめてくれていました。
しばらくの間、涙が止まりませんでした。
ふとした瞬間に呼んでしまう名前。
夜になると、自分の布団に「いないこと」を確認して、また泣いていました。
でも、ある日、不思議なことがあったんです。
いつも寝ていた布団の上に、ぽつんと小さな白い毛が残っていました。
何度も掃除して、全部きれいにしたはずなのに…。
それを見た瞬間、「あ、ミミ、来てくれたんだ」と、自然に思えたんです。
以来、空を見上げて話しかけることが日課になりました。
「今日もありがとう」
「ミミがいてくれて、幸せだったよ」
悲しみはまだ残っているけれど、どこかでちゃんとつながっている気がするんです。
見えなくても、聞こえなくても、ミミは今も、私のそばにいる。
――空を見上げれば、またあのやさしい目に、会える気がします。


