私と「もも」が出会ったのは、私が社会人になりたての頃でした。
保護犬として譲渡会にいた、小さな雑種の女の子。

大人しくて、でも目だけはしっかりと私を見つめていて──その瞬間、何かが通じ合ったような気がしたのです。
あれから13年。
いつの間にか、私の人生のすぐそばには、いつもももがいました。
恋人との別れも、仕事の失敗も、親との喧嘩も、すべてももは黙ってそばで見守ってくれていた気がします。
だけど、ある日突然、病気が見つかりました。
ももの身体は日に日に弱っていき、最後は私の腕の中で、小さく息を引き取りました。
空っぽになった部屋。
首輪の音もしない、寝息も聞こえない。
泣き疲れて眠る日々が続きました。
そんなある夜、夢の中でももが現れました。
いつものように尻尾を振って、私の手をペロリと舐めたあと、じっと私の目を見て──
「ありがとう、もう泣かないでね」と語りかけてきたのです。
目が覚めた瞬間、涙が止まりませんでした。
でも、不思議と心はほんの少しだけ軽くなっていました。
ああ、ももはちゃんと“空”にいて、私を見てくれているんだ。
そう感じた瞬間、私は空を見上げて「ありがとう」を伝えることができました。
今では、夕焼けの空を眺めながら、ももと過ごした日々を思い出すことができるようになりました。
悲しみは完全には消えないけれど、その奥には確かに「ぬくもり」が残っています。


