私の家に、ふらっと現れたのが、三毛猫の「みけ」でした。

ある雨の日、玄関の前で震えていた小さな子猫を、タオルで包んで家に入れたのが始まりです。
本当は、猫を飼うつもりなんてなかったのに──気づけば、私の心の中に「みけ」はすっかり居場所を作っていました。
みけはツンデレで、でもさみしがり屋で、夜になると決まって私の布団にもぐり込んできました。
仕事で疲れて帰った日も、落ち込んだときも、みけの温もりがそっと寄り添ってくれていたんです。
12年という月日を一緒に過ごしました。
その中には楽しいことも、つらいこともあって──
でも、みけはいつも私のそばにいてくれました。
そんなみけが、ある日突然、体調を崩しました。
病院に連れていったけれど、診断は「余命わずか」。
信じたくなくて、何度も「大丈夫」と自分に言い聞かせました。
最期の夜、みけは、私の胸に顔をうずめるようにして、静かに旅立ちました。
小さな、あたたかい命が消えていくあの感覚は、今でもはっきり覚えています。
部屋にぽつんと残ったキャットタワー。
日当たりの良い窓辺。
そこに、もう「みけ」はいない。
それがどうしても受け入れられませんでした。
でも、ある日。
みけが毎朝乗っていた出窓のカーテンが、風もないのにふわりと揺れたんです。
「みけ…来てくれたの?」
そうつぶやいたとき、不思議と涙が止まりました。
それから私は、毎朝窓を開けて空を見上げるようになりました。
青空の日も、雨の日も。
「今日も、見てくれてる?」って。
今でも、みけの毛布はそのままです。
たまに撫でて、あのやわらかさを思い出しています。
みけ、たくさんのしあわせをありがとう。
あなたと過ごした日々が、私の宝物です。
そして、もし空の向こうで聞こえていたら伝えたい。
「また会おうね。ゆっくりでいいから、いつか、もう一度。」


