ペットロスを経験した多くの人が抱える感情に「罪悪感」があります。「もっと病院に早く連れて行けばよかった」「最後の瞬間にそばにいてあげられなかった」――そんな思いが心を締めつけます。
この罪悪感は、深い愛情の裏返しです。ペットを大切に思っていたからこそ、「十分にしてあげられなかったのでは」と自分を責めてしまうのです。心理学的には、喪失を経験した人がよく陥る「もしも思考（If only…）」の一種であり、現実にはどうにもできなかったことを自分の責任にすり替えてしまう心の働きです。
罪悪感を和らげるには、まず「完璧な飼い主などいない」と認めることが大切です。私たちは常に最善を尽くしているつもりでも、後から振り返れば「もっとできたかもしれない」と思うものです。それは決して失敗ではなく、愛情の深さを示す証拠なのです。
また、ペットとの楽しい思い出に意識を向けることも有効です。「一緒に散歩した公園」「帰宅を喜んでくれた姿」など、幸せな瞬間を思い返すことで、罪悪感よりも感謝の気持ちが少しずつ心を満たしていきます。
罪悪感は消そうとするより、受け止め方を変えることで和らぎます。「あの子は自分の愛情をちゃんと感じてくれていた」と信じられるようになったとき、心は少しずつ癒されていくのです。
