私の毎日は、モカと一緒にありました。

小さなトイプードルのモカは、ふわふわの毛並みとつぶらな瞳が自慢の男の子。
人見知りの私にとって、モカは唯一、心を開ける存在でした。
うれしいことがあれば一緒に跳ねて、悲しいときには何も言わず寄り添ってくれた。
そんなモカが13歳を迎えた頃、体調を崩し始めました。
それでもモカは、私の前ではいつも笑っているような顔をして、「大丈夫だよ」と言ってくれている気がして。
最後まで、私の心配ばかりしてくれる子でした。
モカが旅立った朝。
小さな体をそっと撫でながら、「ありがとう」を何度も何度も伝えました。
でも、私の心はぽっかりと空いてしまい、時間が止まったようでした。
散歩道も、使っていたベッドも、ぬいぐるみも、全部がつらくて……
けれどある日、ふと空を見上げたとき、やわらかな雲の中に、小さなモカの姿が浮かんで見えたのです。
ふわっと尻尾を振って、「行っておいで」と言ってくれたような、そんな気がしました。
それから、少しずつ前を向けるようになりました。
玄関で靴を履くとき、「モカ、行ってくるね」って声をかける。
何かつらいことがあったときは、「モカ、聞いてる?」って空を見上げる。
そして、空からのやさしいまなざしを、ちゃんと感じるんです。
モカは今も、空の上から私にエールを送ってくれています。
「大丈夫だよ、君ならきっと乗り越えられる」って。
ペットを見送る悲しみは深いけれど、その絆は、終わらない。
私とモカは、これからも空でつながっている。


